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friction

中川桃子 Momoco Nakagawa

人間の皮膚は、約28日の周期で生まれ変わる。都市は大きな循環装置として、人間の生活を餌に成長し続ける。わたしたちを形成する細胞は死滅と再生を繰り返し、心臓が止まるその瞬間まで日々更新されるのだ。意識を巡らせると、常に変化している「生命」という大きな流れのなか、万物の今の姿は単なる休止点に過ぎないのだと気付いた。異なる階層でそれぞれに起こる細胞たちの摩擦は、自分と外との境界線がどこにあるのかを曖昧にしていく。超情報化社会の今、自分の情報(自分の知らない情報さえも)が様々なデバイスに記憶されているが、それは「自分」が身体という枠組みから外へと溶け出した状態だといえるのではないだろうか。わたしたち人間は、いつしかすべてと融合してしまうのかもしれない。
 

​2022

サイズ可変

写真、塩化ビニル系樹脂シート

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