「サイボーグ ーサイバネティックな有機体ー とは、機械と生体の複合体であり、社会のリアリティと同時にフィクションを生き抜く生き物である。」（ハラウェイ. 2017. サイボーグ宣言：二〇世紀後半の科学、技術、社会主義フェミニズム. 高橋さきの訳. p.287）

 

陶磁器に転写された画像群は、AI顔交換アプリを使い、ヴィンテージ写真に作者の顔を入れ込んだセルフポートレートである。しばらくすると、元写真に違和感を覚えるようになった。私をうつした写真のはずなのに！と。 壺や写真よりも儚い肉体寿命を生きる私たちでさえ、短時間でフェイク画像を易々と真実として受け入れてしまう。 サイボーグは、人種、性、階級といったカテゴライズから逃れる「抵抗意識」、「意識によるシミュレーション」を含有する。このような意識の隠れたせせらぎが行き着く先はどこであろうか？